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介護予防の視点介護予防の視点

Vol.39 聞こえ方の再確認

皆さんこんにちは!小名浜ときわ苑の理学療法士、飛田ひかるです。

今年の夏は本当に厳しく、毎日うだるような暑さに加え、湿気が多い為身体がだるくなり、それこそ「熱中症」の症状が出ませんでしたか?まだまだ残暑が続きますので、日々適切な水分補給、睡眠を十分とり身体のケアを行なってくださいね。

今回は、年齢を重ねていくと不具合が生じやすい「耳」についてお話したいと思います。最近聞こえが悪くなり「えっ?」と聞きなおした事や、何か話しをしているけれど聞き取れなかったりすることはありませんか?

耳は、上記のような構造になっており、その部位により音の伝わり方や働きが違います。

  • 外耳(外耳道):音を集める
  • 中耳(鼓膜や耳小骨):音を大きくして内耳に伝える
  • 内耳(蝸牛):音の振動を電気的信号に変換する
  • 聴神経:電気的信号を脳に伝達する
  • 脳幹:聴神経〜大脳の過程で音の強さや高さを分析する
  • 大脳:音の声質や言葉の識別、統合、認知を行なう

外耳と内耳が障害されると伝音難聴、それ以降が障害されると感音難聴とされます。伝音難聴で代表的なものは、耳垢がつまった状態や中耳炎、感音難聴の代表的なものは、突発性難聴、メニエール病、老人性難聴があります。伝音難聴は治すことのできる難聴ですが、感音難聴はほとんどの場合治すことはできません。

高齢者の難聴=感音難聴である老人性難聴という訳ではありません。聞こえが悪く感じたら、まず耳の専門医である耳鼻科医の診察を受けることをお勧めします。

老人性難聴

老人性難聴とはどのような難聴なのでしょうか。それは加齢現象によって引き起こされる感音難聴です。つまり内耳にある蝸牛の機能低下により音が聞こえにくくなっていき、また中枢神経の機能も低下するので言葉の判断能力も悪くなります。

仮に健康な人が「あ」と聞こえるとすると、伝音難聴の人は小さく聞こえ、老人性難聴の人はややこもった音に聞こえるようです。

治療としては補聴器等を用いて、低下した聴力を補うようになります。

では、どのような方に補聴器が必要なのでしょうか。ときどき聞き違いをしたり、聞き返しが多く、そのために不便を感じている方は補聴器が必要と思われます。検査では40dB以上の聴力低下がある人は補聴器が必要です。

補聴器の種類

補聴器のタイプには、ポケットに本体を入れる箱形、耳にかける耳かけ型、耳の穴にいれてほとんど外からは分からない耳穴型などがあります。

聴力の様子は人それぞれ異なりますので、まず耳鼻科医による診察を受け、聴力検査を行ってどの程度の難聴なのか調べましょう。そして自分に合う補聴器を選択してもらい、調整してもらうことが大事です。合っていない物を使用しても、だんだんわずらわしくなり、また、雑音などを拾ってしまう事もあるため、補聴器を使っていない時と同じような聞き違いや聞き返しが起こり、次第に使うこと自体が面倒になってしまいます。

また補聴器には慣れも必要です。今まで使っていない生活から使う生活への切り替えが必要であり、ご本人の補聴器を使おうという意欲と、ご家族の方のご理解、サポートも欠かせません。

補聴器をつけている方への話し方

補聴器を付けたからといって、健康な人と同じように良く聞こえる訳ではありません。補聴器を付けている方にも、ゆっくりはっきり、その人の顔を見ながら、できるだけ静かなところで話すようにしましょう。言葉の処理能力を補うために、ゆっくりはっきりと話してあげることによりさらに聞き取りやすくなり、難聴者は知らず知らずのうちに話す人の口元を参考にして何と言っているのかを推測し、言葉の理解に役立てているからです。

おわりに

見た目では、その人がどの位の聞こえ具合なのかはわかりません。勝手な思い込みで年齢が高い人に対し、耳が遠いのではと大声で話してしまったりすることもあると思います。補聴器をつけていなければ、耳が聞こえにくいのかなどは分かりにくいことです。補聴器の有無に関わらず、まずはゆっくりはっきり話しをしてみましょう。

耳の調子がいつもと違うなと感じた時は、早めに受診し、その後の生活が楽しく健やかに過ごせるようにしていきませんか?


参考文献:
よくわかる耳鳴り 難聴・めまい 石井正則 主婦と生活社
難聴・めまい・耳鳴りを解消する 〈監〉神尾友和 相原康孝 講談社

介護老人保健施設 小名浜ときわ苑

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福島県いわき市小名浜

☎ 0246-58-2300

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