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特定保健指導特定保健指導

特定健診と特定保健指導

「特定健診」「特定保健指導」とは、40歳〜74歳までの医療保険加入者を対象に、2008年4月より新制度として実施されている健康診断と保健指導のことです。

目的は生活習慣病の発症を未然に予防するためにメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の該当者や予備軍を発見し、生活習慣の改善を指導することにより、医療費を削減することにあります。

生活習慣病関連の医療費は国民全体の医療費の3割を占めており、高血圧や脂質異常症、糖尿病などに代表されるこれらの生活習慣病はほとんどが慢性病であることから様々な合併症を発症する可能性が高く、医療費が更に増加することが予想され、その予防により、医療費を大幅に削減するのが狙いです。

では、メタボリックシンドロームとは、どういうことでしょう?

「メタボ」とテレビや新聞などをにぎわしているこの言葉は、内臓脂肪型肥満に加え、高血糖・高血圧・脂質異常のうち、いずれか2つ以上をあわせもった状態を指すと定義されています。

具体的には、

  • ・腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上
  • ・腹囲が男性85cm未満・女性90cm未満でBMI(肥満指数)25以上

また、上記の項目に加え、空腹時血糖・血中脂質・血圧・喫煙歴の有無を追加リスクとして該当するかをチェックし、「情報提供」「動機づけ支援」「積極的支援」という3タイプの保健指導を受けることになります。

運動をかねて出かけてみませんか?

医療費が高くなるのも問題ですが、なによりもまず病気にはなりたくありませんよね。
自分の体は生活習慣を見直すだけで、健康は保てるもの。食事と運動でコントロールしてみませんか?

では、どうやってコントロールすればいいのでしょう?

内臓脂肪蓄積の指標となる腹囲1cmの減少は、約1kgの体重の減少に相当します。
体重1kg増えるということは(内臓脂肪)7000kcalの食事を余分に摂ったことになります。
では1ヶ月で1kgの減量をするには?
< 7000kcal ÷ 30日 = 233kcal >
を、現在の摂取カロリーから減らせば良いのです。

まず、食事のコントロールから。
食事の記録をつけることで、食べ方のどこに問題があるかわかってきます。
(間食が多い・アルコールの多飲・夜食を食べる・外食が多いなど)
それらの問題を意識することにより、食事からの摂取カロリーを少なくすることは可能です。

次に運動の消費量を増やすには、厚生労働省が2006年7月に発表したエクササイズガイドというものを利用しますと個人個人に合わせたエネルギー消費量を簡単に知ることが出来ます。

  • ※エクササイズ(Ex)
    ガイドで用いる単位は、身体活動の強度(メッツ)に身体活動の実施時間(時)をかけたもの(=メッツ・時)
  • ※1エクササイズに相当するエネルギー消費量(体重によって異なる)
    <簡易計算式>
    エネルギー消費量(kcal)=1.05×エクササイズ(メッツ・時)×体重(kg)
  • ※健康づくりの(生活習慣病の発症予防)のための身体活動量の目標
    目標は、週23エクササイズ(メッツ・時)の活発な身体活動(運動・生活活動=3メッツ以上の身体活動)を行い、そのうちの4エクササイズ以上の活発な運動を行うことが目標なります。

1エクササイズに相当する活発な運動量

  遠足 水泳 自転車 ゴルフ 軽いジョギング ランニング テニス(シングル)
強度 (メッツ) 4.0 8.0 4.0 3.5 6.0 8.0 7.0
運動時間 10分 10分 20分 60分 30分 15分 20分
運動量 (Ex) 0.7 1.3 1.3 3.5 3.0 2.0 2.3
体重別エネルギー消費量
50kg 25kcal 60kcal 55kcal 130kcal 130kcal 90kcal 105kcal
60kg 30kcal 75kcal 65kcal 155kcal 155kcal 110kcal 125kcal
70kg 35kcal 85kcal 75kcal 185kcal 185kcal 130kcal 145kcal
80kg 40kcal 100kcal 85kcal 210kcal 210kcal 145kcal 170kcal

これを基に運動を実行すると良いですね。

こうして、運動と食事とのコントロールの仕方が理解できたところで、運動を兼ねて、お弁当を持って、家族や友達と出かけてみませんか?(ただし、食べすぎ・飲みすぎには注意です!!)本当に簡単なお弁当をご紹介しますね。

栄養編・カロリーダウンのコツ

カロリーを下げるのには調理法だけではなく、スーパーで食材を購入する時からダイエットは始まっているのをご存じでしたか?

例えば肉なら種類を決め(牛・豚・鶏肉)、部位を決定(ロース・赤身・バラ・皮つき・皮なし)、調理方法(揚げる・焼く・炒める・煮る・蒸す・茹でる)を考える。
この3段階の中でダイエットが出来るのです。
今回は皆さんがエネルギーの計算を簡便に出来るように、切りのいい数値で表現しましたので成分表の表示と誤差が生じることをご理解願います。

鶏肉

【鶏肉】

右から、鶏もも肉皮つき(100g・200Kcal)、鶏もも肉皮なし(100g・100Kcal )、鶏ささみ(1本50g・50Kcal)
*写真は2本・100gで掲載していますので100Kcalになります。

部位を変えただけでカロリーダウンは安易にできますし、揚げる→炒める→煮る→蒸す→網焼き→茹でるといった調理過程の変化で、同じ部位を使用してもカロリーはダウンできます。
揚げる調理方法を茹でる調理に変えただけで約150 Kcalを減らすことができます。
(油は大さじ1杯で110Kcalありますので、そこに衣なども入ると上記の数値になります)

豚ひき肉

【豚ひき肉】

ハンバーグ・肉だんご・ギョーザには必ず使用するひき肉も、赤身に変えただけでエネルギーを1/2にカットできます。

<ちょっといい話> 1. コレステロールって??

肉はコレステロールが多く含有するので気になる方が多いと思います。
でも人間の身体に必要なコレステロールは食事から摂取する割合は全体の1/5程度で殆どが肝臓と小腸で合成されているのです。

コレステロールは脂質の一種で、細胞膜、胆汁酸、各種ホルモン、ビタミンDの前駆体の原料で身体には必要不可欠な物質です。
コレステロールは身体に悪いもののイメージがありますがそうではないのです。
よくHDLは良いコレステロール(善玉)、LDLは悪いコレステロール(悪玉)と認識されている方が多いと思われますが身体にはどちらも必要なのです。

HDLコレステロールとは

血管壁に沈着した余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す働きをしています。
簡単に例えると血管のお掃除屋さん、基準は40ml/dl以上あることがよいとされております。

LDLコレステロールとは

肝臓で作られたコレステロールを各臓器に運ぶ働きをしている低比重リポたんぱくのことです。
細胞内に取り込まれなかった余分なコレステロールを血管内に放置し、動脈硬化の原因ともなります。

基準は140ml/dl以下であることが望ましいようです。LDL—コレステロールは計算式で求められます。
LDLコレステロール=総コレステロール−HDLコレステロール−(中性脂肪)÷5
中性脂肪の高い方は要注意です。

次に皆さんが毎朝定番で召し上がっているパン食の内容について耳寄りな情報をお伝えします。すぐにトライする価値がありますよ。

食パン ジャム、マーガリン

【食パン】

食パン6枚切1枚(160kcal)に、いちごジャム大さじ1杯(50kcal)とマーガリン大さじⅠ杯(100kcal)をつけると、カロリーは合計 310kcalになりますが、そこで一工夫してみましょう。

食パンを8枚切り1枚(120Kcal)にします。
そして、いちごジャム小さじ1杯 (20kcal),マーガリン小さじ1杯(30kcal)に変えるだけで合計170kcal。

見た目には大きな変化はみえませんが約140kcalと大幅なカロリーダウンです。

ハム&ベーコン

【ハム&ベーコン】

ベーコンエッグなどでベーコンを利用される方も多いと思います。
ベーコンはハムの約2倍ものカロリーがあります。
ハムに変えてハムエッグでも十分美味しくいただけるのではないでしょうか。

ドレッシング

【ドレッシング】

野菜サラダは低カロリーですが、マヨネーズは大さじ1杯で90kcalとカロリーは高く、卵1個分とほぼ同じカロリーあります。
オイルドレッシングも大さじ1杯60kcalと高く、ドレッシング類でかなりのカロリーを摂取していることになります。
最近ゴマが話題となり、栄養価が高く優れた食品と良いといわれていますが、ゴマドレッシングは大さじ1杯60kcalです。

そこで、ノンオイルドレッシング(大さじ1杯20kca)に変えることにより、カロリーカットができます。
購入する際はカロリー表示を確認してみましょう。

※カロリーの低いドレッシング類に変えても塩分量は変わらないので、使いすぎには気をつけましょう。

牛乳

【牛乳】

牛乳コップ1杯(200ml)は135kcalです。
低脂肪牛乳に変える方法もありますが、100ml(70kcal)に減らし、ミルクティーやカフェオレにして飲んでみてはどうでしょうか。
約65kcalのカロリーダウンとなります。

ここまでみてきた食材を朝食のメニューにしてみてみましょう。
合計845kcal → 460kcal  385kcal のカロリーダウンになります。
食事の量をあまり減らさず、見た目にも満足できるのではないでしょうか。
一番手軽に出来るダイエットだと思いませんか?

おやつ 飲み物

【おやつ】

ポテトチップスは大袋では 500kcal以上の高カロリーです。
食べる分だけ器に盛って、食べすぎないようにする工夫もありますが、購入する際に小袋のものを選びましょう。

コカコーラ 500ml(225kcal)には砂糖約64g(スティックシュガー16本分)入っています。
ノンカロリーに変えることもお勧めです。

<ちょっといい話> 2. 人工甘味料

ノンカロリーの飲料には、人工甘味料が含まれています。
特徴としては低エネルギーで、血糖が上がりにくく、虫歯になりにくい性質をもっていますが、多量に摂取すると腹痛や下痢をおこすこともあります。

また、依存しすぎると甘味に鈍感になりやすくなりますので上手に取り入れてみましょう。
「間食はやめておこう!!」と思っても欲求を抑えることは辛く、欲求が満たされないと心に余裕がなくなりストレスがたまります。
ダイエット中の間食は適度に摂って、ストレスを減らしましょう。

今回ご紹介させていただいた食材の部位や、計量スプーンを大から小にする工夫でもダイエットは手軽にできます。

1日100Kcalの食材調節と運動の組み合わせでもご自分に合った方法を選んで、継続して実行していくと1年後には12kgのダイエットが出来、美しい身体と健康を手にいれることができます。

当院では運動(健康運動指導士)と栄養(管理栄養士)のスペシャリストが健診データを分析し、生活習慣病を予防・解消し、より良い生活が送れるよう全力でサポートさせていただきます。
是非この機会をチャンスととらえ、当院の特定保健指導を活用して、メタボリックシンドロームの予防・解消に取り組みましょう。

特定保健指導のご予約・お問い合わせは当院の健診室までご連絡ください。

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