SECTION05
FDG-PET/CT検査の保険適用(2012年4月改訂)
【当院で行っているPET-CT検査】
□早期胃がんを除く、すべての悪性腫瘍、悪性リンパ腫:
□心サルコイドーシスの診断(2019年2月より開始)
【当院で行っていないPET-CT検査】
1.腫瘍マーカー高値のみでは不十分です。
2.「疑い」病名は適応になりません。
3.同一月内にガリウムシンチグラフィが行われている場合、PETは保険適応になりません。
PET/CTは陽電子断層撮影(PET:Positron Emission Tomography) とコンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)が一体になった最先端の診断装置です。
CTやMRI検査などでは、主に大きさや形など形態上の異常を検出しますが(形態診断)、PET検査を加えブドウ糖消費の程度を評価することによって病気の性質が判断する事ができます。(機能や代謝診断)
がん細胞は正常な細胞よりも分裂が盛んに行われるため、正常細胞の3〜8倍のブドウ糖を必要とします。そのがん特有の性質を利用しがん細胞が活発にブドウ糖を取り込む性質を利用して画像にする方法です。
PET検査では全身を一度に撮影することから、がんを想定外の場所からも拾い上げることができます。そのためがんの病期(病巣の大きさや転移の評価)や再発について、迅速かつ適確に診断することができます。しかも、FDGの集まり程度から、がん細胞の悪性度(増殖の早さや、転移、再発のし易さに関係)についても評価できます。
さらに、はじめのFDGの静脈注射さえ済んでしまえば、その後は検査が終了するまで患者さんへの苦痛や負担はほとんどありません。撮影中、静止していなければならない時間は12分~20分程度です。
1.一度の撮影で全身を撮影
PET検査では一度の撮影でほぼ全身をみることができます。
2.苦痛の少ない検査
薬剤を注射して約1時間安静にした後、カメラの下で30分ほど横になっていただくだけです。
3. がんの転移や再発の診断に有用
全身を一度に撮影しますので転移や再発に有効です(撮影部位:頭頂部~大腿部)
4. 組織の活動状態がわかる
薬剤の集まり具合で組織の活動や、良性・悪性の識別をすることができます。
臓器や部位によっては発見しにくいがんもあることをご了承ください。
薬剤(18F-FDG)は尿中へ排出されるため、腎臓や膀胱などのがんも発見しにくい場合があります。
当院では、検査前に必ず排尿して頂き、腹部は時間をおいて2回撮影し見落としが無いように努力しています。
PETは「がん」の診療にとって画期的な検査法です。しかし、これさえ受ければ完璧というわけではありません。他の検査や画像診断とあわせて初めて、存在部位や広がり、重症度がより明確になります。
また、臓器や部位によっては、PETCTだけでは見つけることができない「がん」があることも、理解しておかなくてはなりません。
当院はこのようなPETの特徴をふまえ、複合検査の重要性と多目的診断の必要性に注視し、つねに高精度の診断に結び付くよう、工夫と努力をしております。
PET-CT検査では1度の撮影でほぼ全身をみることができます。
しかし、決して万能のものでもありません。
つまり、固まりをつくるがんほど見えやすく、薄く広がるがんほど見えにくいのです。
5mm程度でも固まりをつくっていれば見える場合もあり、逆に1cm以上でも薄く広がっているがんの場合は見えにくくなります。
注意点、及び検査前日から検査終了後までの間、守らなければいけない事は?
なぜ検査前から絶食するのですか?
PET検査は、がん細胞が大量のFDGを取り込む性質を利用した検査です。そのため、検査前に食べ物や甘い飲み物を摂取すると、がん細胞が満腹になり、FDGを注射しても集積が悪くなります。その結果、がんの正確な情報が得にくくなります。
PETではどんな「がん」でも見つけだせるのですか?
「がん」の種類によっても、また病気の時期によっても、ブドウ糖の代謝は異なりますので、必ずしも全ての「がん」を見つけ出せるわけではありません。肺癌や大腸癌を検出するのは得意ですが、胃癌、肝細胞癌、腎癌、膀胱癌等は比較的苦手です。
どんなに小さくても見つけることが出来るのですか?
数ミリ程度の小さい「がん」は画像にも写りにくく、見つけるのは困難です。ほぼ直径1cm以上の大きさであれば検出できるとされています。
被ばくや副作用の心配はないのですか?
検査に使う18F-FDGという薬はブドウ糖製剤で、投与量も非常に微量です。
また、1回のPET/CT検査で受ける被ばく量は5~8mSv(ミリシーベルト)程度です。
なお、検査前に妊娠の可能性がないことをご確認ください。
検査後の生活で気をつけることはありますか?
微量の放射能が体内に残っていますので、検査後の2時間は人混みを避け、妊産婦や幼小児との緊密な接触を控えてください。
PET検査の健康保険適用範囲
悪性腫瘍(早期の胃がんや、他の検査・画像診断により病期診断、転移・再発が確定できない方は保険適用になりません)
※上記の疾患でも、さまざまな条件により保険適用とならない場合があります。