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介護予防の視点介護予防の視点

Vol.52 認知症予防食

はじめまして。今年から楢葉ときわ苑で作業療法士として働いている、新妻祐介と申します。皆さま、どうぞよろしくお願いします。

さて、暑い夏が過ぎもう秋ですね。秋と言えば「食欲の秋・読書の秋・芸術の秋」と様々な呼び方がありますが、私はもっぱら食べ物の秋です。秋はおいしい食べ物がたくさんあり、季節の中で一番好きです。今回はそんな「食」の話と「認知症」の関係について皆さまにご紹介します。

まず、認知症予防は近年注目されておりますが、驚くべきことに「認知症」の発症には食習慣が深く関係していることが明らかになりました。特に「アルツハイマー型認知症」に影響するようです。研究によると「1日80gの青魚、最低2回の緑黄色野菜を摂ることが認知症予防には大切」らしいです。

認知症予防の食事を心がけよう!

若い脳を保つための食事のポイントは「減塩」「抗酸化」「コレステロール」です。高血圧は認知症の危険因子のひとつ。塩分やコレステロールの取り過ぎは血管を老化させ、動脈硬化や脳梗塞につながる恐れがあります。また、活性酸素によって体の細胞が酸化すると新陳代謝が妨げられ、老化を促してしまいます。栄養バランスの良い食事をすることは、高血圧・動脈硬化などの生活習慣病だけでなく、認知症予防にも効果的なのです。

青魚は脳にいいらしい?!

長寿で有名になったギンさんは、実は脳にはアミロイド斑(老人斑)が出来ていたそうです。アミロイド斑はアルツハイマー病患者に多くみられるものです。それにも関わらず、ギンさんはアルツハイマー病を発症しませんでした。これはなぜでしょうか?ギンさんは生前、魚を好んで食べていたそうです。

その結果、ギンさんはアルツハイマー病になることなく元気に生活ができました。ギンさんの脳を救ったのは、青魚に含まれるDHAだったのです。脳内にアミロイド斑が出来るとそれを処理しようと免疫細胞が働き始めます。すると、免疫細胞はアミロイド斑だけでなく、正常な神経細胞も攻撃してしまいます。そして、脳の神経細胞が炎症を起こします。ところが、DHAはそれを修復する力を持っているということが分かったのです。

生活習慣病に効果アリ!

がん・脳卒中・動脈硬化・高血圧・糖尿病など、いわゆる生活習慣病と言われる病気は、死亡原因の上位を占めており、どの病気も食生活と深い関係があると言われています。食事がその病気の原因にもなりますが、食事によって病気が治ることもあるとも言われています。DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサぺンタエン酸)には、これらの病気を予防・改善する働きがあると言います。

EPAは血液をサラサラにして、脳梗塞の原因となる血の塊「血栓」を予防する効果があります。DHAはコレステロール値を下げてくれます。コレステロールには、善玉コレステロールと悪玉コレステロールがあり、悪玉コレステロールが増えると血管の壁にコレステロールが溜まって動脈硬化が進む原因となります。DHAには悪玉コレステロールを減らす効果があります。

またDHAの更なる効果として「頭が良くなる」効果があり、DHAが脳の神経の伝達に大きく影響します。「魚をたくさん食べると頭が良くなる」のは、嘘ではなさそうですね。さらにDHAの脳への働きは、老化や物忘れに効果があり、老化した脳の神経細胞を活性化してくれるそうです。

ビタミンE・Cもアルツハイマー病に効果的

ビタミンE・Cがアルツハイマー病に効果的だと言う研究が発表され、さらにビタミンE・Cを一緒に摂ることでアルツハイマー病になりにくい脳を創ることができるそうです。

ビタミンEは老化防止に効果があり、老化の原因と考えられている過酸化脂質がつくられるのを妨ぐ働きがあります。不足すると、しみ・血行不良・冷え性・肩こり・頭痛・しもやけなどの症状が出てきます。

ビタミンCの働きには、㈰肌の張りを保ちしみや小ジワを防ぐ㈪ウィルスや細菌に対する抵抗力を高め、カゼや感染症を予防する㈫ストレスを和らげる㈬血中コレステロールを下げる㈭発ガン物質の生成を抑える㈮鉄の吸収を助けるなどがあります。その他重要なものに、コラーゲンの生成があります。

そして、ビタミンE・Cを一緒に摂取すると、CがEの抗酸化作用を高めてくれるのでより良いとのことです。

ビタミンEを多く含む食品例

ビタミンEを多く含む食品にはこのようなものがあります。

アーモンド、アスパラガス、アボカド、ウナギ、かぼちゃ、カレイ、キウィフルーツ、玄米、コーン油、サケ、さつまいも、サバ、サンマ、シシャモ、春菊、すじこ・イクラ、だいこん葉、たけのこ、菜種油、にら、胚芽米、ピーナッツ、ひまわり油、ブリ、ブルーベリー、プルーン、ほうれんそう、ホタテ、マグロ、綿実油、落花生

ビタミンCを多く含む食品例

ビタミンCを多く含む食品にはこのようなものがあります。

アセロラ、いちご、かき、キウィフルーツ、キャベツ、グァバ、グレープフルーツ、小松菜、さつまいも、じゃがいも、チンゲンサイ、夏みかん、ネーブルオレンジ、パセリ、パパイヤ、ピーマン(赤ピーマン)、モロヘイヤ、レバー(鶏、豚、牛)、レモン、れんこん

調理で認知症予防

今までご紹介してきた認知症予防の食材は、食べるだけでも脳が活性化しますが、「調理」をすることも脳の活性化につながるようです。認知症予防の食材を調理することで、さらに「認知症予防」に近づくことができるのです。

調理は…

  • 作る料理を決める
  • 食材を選ぶ
  • 食材を加工する
  • 道具を使う・火を使う
  • 盛り付けをする
  • 五感で楽しむ
  •  

など、多くの作業工程を必要とする難しい作業なのです。難しいが故に、脳の前頭前野と呼ばれる部位が活発に働きます。

アルツハイマー病は初老期(40〜60歳)の女性に多く発症し、急速に進行する怖い病気なので、女性の方は、食材を意識し調理を楽しむだけでも、認知症予防につながる可能性があります。また「料理なんて女のする事だ」とおっしゃる亭主関白の男性の方も、よろしければ調理活動を行ってみて脳の活性化を心がけてみてはいかがですが?

最後に「食事」は日常生活で欠かせない行動であり、人間の習慣の一つです。毎日欠かさずできる習慣の中から「認知症予防」を意識し、食材選びや調理に取り組まれてはいかがですか?

引用文

Web「教えて!認知症予防
Web「高齢者の高血圧と認知症
Web「調理で脳が活性化

介護老人保健施設 小名浜ときわ苑

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福島県いわき市小名浜

☎ 0246-58-2300

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