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Vol.29  ストレッチングで快適生活!

こんにちは!小名浜ときわ苑 理学療法士の鯨岡栄一郎です。
29号にもなる当コーナーですが、今回は、意外なことに (?) これまで触れられてこなかった『ストレッチング』についてご紹介いたします。

実は最近、個人的にストレッチングが新習慣となっています。仕事前のウォーミングアップとして、ハムストリングス(ももの裏)や背中〜首のストレッチングをし、体の調子を整えています。何を隠そう、私は体がガチガチに硬いのです。30代半ばを超えてからでしょうか、元々硬かった体がますます硬くなってきたのを感じます。老化でしょうか. . .?しかし、ストレッチングを行っているせいか、仕事中はあまり疲れず体は順調ですし、肩こり・腰痛などもありません。
 
 
一般的に、ストレッチングの効果としては以下の点が挙げられます。
1)関節可動域(柔軟性)の維持・向上
2)血液循環の向上
3)傷害予防
4)疲労回復の促進
5)疼痛の軽減
6)リラクゼーション
7)筋肥大
8)筋萎縮の抑制
 
ストレッチングは体の柔軟性を高めるのに効果があり、準備・整理運動の一要素として活用されています。また、筋温や体温を高める効果があります。これらが柔軟性の向上やウォーミングアップ効果と関連しているのです。最近ではこれらの効果に加えてリラクゼーション効果も明らかになってきました。ストレッチングの実施により前頭葉でのα波を増加させ、心拍数を低下させること、すなわち自律神経の活動が副交感神経活動を有意に変化させることが明らかとなっています。なお、柔軟性はほぼ全ての世代にわたって男性よりも女性の方が優れています。
 
筋肉が硬くなると、血管を圧迫し変形させます。その結果、老廃物がたまりやすくなったり、筋肉の疲労が取れにくい、といったことも起こってきます。
 
 
一方、様々な文献を見てみますと、2007年にシドニー大学(オーストラリア)の研究者らが、「ストレッチングには筋肉痛の予防効果はない、という非常にはっきりとした結果が明らかになった」と発表したことが話題になりました。この調査は『コクラン・データベース』に掲載された信頼度の高いものです。なお、「しかし、ストレッチングを行ったときに気分が良くなるのであれば、運動前後のストレッチングが有害であるというエビデンス(証拠)はないので、ストレッチングを行えばよい」とも。では、ストレッチングによって筋肉痛が緩和しないなら、どうすれば緩和するのでしょうか?この研究者らは「軽い運動をすればよい」と指摘しています。なるほど. . . 。
                         
ストレッチングに関する議論は研究者の間ではまだまだ続きそうですね。

ではここで、私自身が気に入っているストレッチングの動きが何種類かあるので、今回はそれらをご紹介したいと思います。

(1) 首の横側を伸ばす動き

首を横に曲げ、首の横の筋肉を伸ばします。頭をちょっと後ろに引き、腕を下方向に伸ばそうとするとさらに効きます。

(2) 肩から胸、肩から腕を伸ばす動き

両手を組んで後ろに挙げます。左右の肩甲骨同士をつけるつもりで。頭を上げ、天井を向くとさらに効きます。

(3) 胸から腕・背中を伸ばす動き

ネコのポーズ。背中を反らします。胸を床につけようとする、また頭を上げようとするとさらに効きます。

(4) 太もも・ふくらはぎの後ろ側を伸ばす動き

両足を伸ばして座り、体を前に曲げます。足と足をつけ、膝をきちんと伸ばします。できればつま先をきちんと上げるようにして行うとさらに効きます。

(5) 太ももの内側・上半身を伸ばす動き

イチローのポーズ。腰をきちんと落とします。肩を入れ込むような気持ちで。体幹と股関節周囲の筋肉を伸ばします。

どうでしょう、終わった後、体がかなりスッキリしますよね?!(1)〜(5)とも肩こりや腰痛解消の運動にもなります。
 
 
ここで注意点です。
みなさんが行うのを見ていてよく感じるのが、ストレッチする時間が短すぎる、そして反動をつけたり息を止めて動かしたりしていること。これらは危険ですし、効果を半減させます。ゆっくり、じっくり呼吸をしながら行って下さい。また、どこの筋肉を伸ばしているのかを意識することが大切です。そして、くれぐれもやりすぎは禁物。イタ気持ちいい所で止めておくのがいいですね。お風呂上がりに行うのも効果的です。

前述したように、ストレッチングの効果はまだまだ未知数。ですが、筋肉をストレッチすれば、確かに気持ちが良いですし、体がスッキリし、気分転換になる。全身が温まる。歩行や運動などの動きがスムーズになり、仮に転倒した場合でもケガが軽症になることも期待できます。私事ですが、数年前、一時期ひどい座骨神経痛に悩まされたことがありましたが、自分でストレッチングを行い、その結果症状は軽減し、現在では全く痛みがありません。
 
「体が柔らかいと長生きする」のような俗説もあります。ぜひご自分のペースで、ストレッチング運動を日常生活に取り入れることをお勧めいたします。 . . . と、その前に私もしっかりトレーニングして、体を柔らかくしなくてはいけませんね!この秋、一緒にストレッチングいたしましょう!
 
 
 
【参考文献】
もっと伸びる!ストレッチング  伊藤マモル 山海堂 2006年

介護老人保健施設 小名浜ときわ苑

介護老人保健施設 小名浜ときわ苑

福島県いわき市小名浜

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