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Vol.15 特定健診・特定保健指導のご紹介—メタボリックを撃退せよ!—

こんにちは!小名浜ときわ苑リハビリテーション部、健康運動指導士の飯田祥平です。
財団法人ときわ会竹林病院にて今年度5月から特定健診、8月から特定保健指導が始まりました。
今回は「特定健診・特定保健指導」についてお話させていただきたいと思います。

特定健診・特定保健指導とは?

平成20年4月から40歳以上75歳未満の被保険者および被扶養者を対象として、メタボリックシンドロームの予防・解消に重点をおいた、生活習慣病予防のための新しい健診・保健指導が始まります。これを「特定健康診査(特定健診)」・「特定保健指導」といい、各医療保険者は実施が義務づけられています。

*メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とは

肝臓や腸などの内臓まわりに脂肪がたまり過ぎた状態(内臓脂肪型肥満)に加え、高血糖、高血圧、脂質異常のうちの2つ以上が加わった状態をいいます。たまり過ぎた内臓脂肪は、放置しておくと体に様々な悪い影響を及ぼします。
 
内臓脂肪がたまり過ぎると、(1) 血中の中性脂肪が上がる。(2) 血圧が上がる。(3) インスリンの働きが悪くなり、血糖値が上がる。(4) 動脈硬化が進行する。その結果、脳卒中・心筋梗塞・糖尿病の合併症を発症します。

特定健診・特定保健指導の目的

これまでの健診・保健指導は「病気の早期発見・早期治療」を目的としていました。特定健診・特定保健指導では、内臓脂肪型肥満に着目し、その要因となっている生活習慣を改善するための保健指導を行い、糖尿病等の生活習慣病の有病者・予備群を減少させること(病気の予防)を目的としています。生活習慣病は自覚症状がないまま進行するため、健診は個人が生活習慣を振り返る絶好の機会と位置づけ、行動変容につながる保健指導を行います。

特定健康診査(特定健診)とは?

健診項目には、内臓脂肪の蓄積状態をみるために腹囲の計測が追加されるなど、特定保健指導の対象者を抽出するための検査項目が導入されています。対象者は40歳以上75歳未満の加入者で、被保険者だけでなく被扶養者も対象となります。特定健診の結果をもとに、内臓脂肪蓄積の程度とリスク要因の数に着目して、リスクの高さに応じて、レベル別(「動機づけ支援」・「積極的支援」)に特定保健指導の対象者の選定を行います(階層化という)。なお、特定健診を受けた人には、全員に健診結果に基づいて一人ひとりの状況に応じた「情報提供」を、結果の通知と同時に実施します。

特定保健指導とは?

特定保健指導は、特定健康診査の結果、階層化により「動機づけ支援」「積極的支援」に該当した人に対して実施されます。特定保健指導の目的は、対象者が自分の健康状態を自覚し、生活習慣の改善のための自主的な取り組みを継続的に行うことができるようにすることにあり、対象者が健康的な生活に自ら改善できるよう、さまざまな働きかけやアドバイスを行います。

*階層化とは?

腹囲 男性>=85cm 女性>=90cm
腹囲 男性<85cm 女性<90cm かつBMI>=25



上記の項目に加え、追加リスクとして空腹時血糖・血中脂質・血圧・喫煙歴に該当するかをチェックし、「動機づけ支援」「積極的支援」という保健指導を受けることになります。
 
動機づけ支援・・・生活習慣の改善を促す原則1回の支援を実施します。
 
医師、保健師、管理栄養士らの指導のもとに行動計画を作成し、生活習慣改善に取り組めるように、専門のスタッフが原則1回の面接指導を行います。面接の6ヵ月後に計画どおり効果が出ているかなどを評価します。[例:個別支援、グループ支援など]
 
積極的支援・・・3ヵ月以上、複数回にわたっての継続的な支援を実施します。
 
医師、保健師、管理栄養士らの指導のもとに行動計画を作成し、生活習慣改善に取り組めるように、専門のスタッフが原則1回の面接指導を行い、その後3ヵ月以上の定期的・継続的な働きかけを行います。面接の6ヵ月後に計画どおり効果が出ているかなどを評価します。[例:個別支援、グループ支援、電話、Eメールなど]

メタボリックシンドロームを予防・改善するには

内蔵脂肪を減らすには、運動習慣・食事習慣を見直す必要があります。

<運動>
運動には体脂肪の燃焼と基礎代謝量を高める効果があります。体脂肪を燃焼させるにはウォーキング、水泳、自転車、エアロビクスなどの有酸素運動が有効です。時間は20分以上続けることで脂肪燃焼が効果的に起こります。なぜ20分なのか? 20分までで使う脂肪は血中の脂肪で、血液をさらさらな状態にするので健康維持のためなら十分な時間ですが、脂肪細胞を減らすには有効ではなく、20分後から使われる脂肪は内臓・皮下脂肪が使われるようになり、体脂肪を燃やしてくれるということです。
 
基礎代謝量とは人間が生きていく上での必要最低限消費されるカロリーです。このとき、カロリーを消費する臓器は筋肉です。すなわち筋肉が増えれば基礎代謝量も増え、肥満の防止につながるといえます。筋肉を増加させるには筋力トレーニング、短距離走などの無酸素運動が効果的です。
 
運動の頻度としては、週に3回〜5回程度必要です。
このように肥満解消には、有酸素運動による内臓脂肪の燃焼と無酸素運動による筋肉の増量が必要不可欠です。
 
普段忙しくて運動する時間がないという方は、通勤時には電車内で座らない、ひと駅前で降りて勤務先まで歩く。また、自転車で通勤が可能な距離であれば、自転車を利用し、歩ける距離であれば、ぜひ歩いて通勤してみるようにしましょう。会社に着いてからも、なるべくエレベーターは使わずに階段を利用するというのも効果的です。会社で昼食を食べたあとは、20〜30分ほど近所を散歩することもできますね。内臓脂肪を燃焼させるためには、その他にも、ちょっと工夫することによって有酸素運動に変えることができますよ。

<食事>
みなさん、食事制限のみでやせようとしていませんか? 食事量を減らすダイエットを行うと、確かにやせるかもしれません。しかし実際は筋肉(基礎代謝量)だけが落ちていき、結局脂肪は落ちていないのが現実です。何も食べないままということはできないので、何か食べると、食べたものが筋肉が減って代謝が衰えたところに脂肪になってしまいます。筋肉が減ったところに脂肪が付くと、なかなかその脂肪は落ちてくれません。したがって、結局以前より体重が増えることになる、という悪循環に陥ってしまいまし、無理な食事制限は、苦しいだけでリバウンドしやすいのです。ダイエットは、体脂肪を燃やすことであって、体重を減らすことではありません。
 
☆規則正しい食生活☆
(1) 1日3食規則正しく。
(2) 腹八分目で切り上げる。
(3) 良く噛んでゆっくりと。
(4) 寝る前には飲食しない。
(5) おやつは時間と量を決める。
 
 
このようにメタボリックシンドローム改善のためには、運動と食生活の改善が不可欠です。
みなさん、今一度生活習慣を見直して、健康な体をつくりましょう!
 
 
これから特定健診・特定保健指導を受診する予定の方は、財団法人ときわ会竹林病院で受診することができますので、お気軽にお問い合わせください。

介護老人保健施設 小名浜ときわ苑

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福島県いわき市小名浜

☎ 0246-58-2300

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