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介護予防の視点介護予防の視点

Vol.7 筋と歩行

みなさんこんにちは、理学療法士の飛田(ひだ)ひかるです。介護予防のコラムも7回目となりました。自宅で出来るリハビリテーション、認知症に関すること、転倒予防、家族との関わり、住民参加の介護予防など、どれも興味深い話が書かれています。
 
ここでちょっと休憩!!といきたい所ですが、今回は少し筋肉に関するお話をしてもいいでしょうか?
 
人間の身体はいろんな細胞で作られており、血管・神経・骨・筋など身体中に張り巡らされています。その中の筋————!!今までのコラムの中でも筋肉を使う、そして動かす大切さが書かれていたと思います。
 
人の身体は大体30歳位で成熟し、その後だんだんと加齢に伴い低下していきます。低下の割合は人それぞれ違います。スポーツをしている人としていない人ではもちろん違います。50歳を過ぎると筋力の低下の割合はさらに高くなり、30歳代から80歳代までで、約30〜40%低下します。筋力の低下を起す要因として、ちょっと難しくなりますが、(1) 瞬発的な動きをする時に使う筋肉の萎縮、(2) 筋自体の重さの減少(筋肉が細くなる)が影響していると考えられます。

では、どうすれば低下していく筋力(筋肉)を抑制できるのか・・・
 
筋力トレーニングも大切ですが、下肢の筋力に関しては歩行(歩くこと)、有酸素運動が大切です。まず、歩行ですが、かつて歩くことは私たちの生活習慣の中で、基本的なことでした。しかし、車・自転車などを利用する機会が多くなり、職業上歩く必要のある人を除くと平均して、1日4〜5千歩程度だそうです。

歩行には、
 
(1) 呼吸循環機能を高める
→これはランニングと比べると軽い運動ですが、呼吸循環機能を高めると言われています。分かりやすく言うと、歩行することで酸素を取りこむ量、肺の喚気が安静時の約8倍まで増加すると報告されています。
 
次に、
 
(2) 中高年の体力向上に効果的
→歩行に関して色々な研究がされていますが、1回5分間程度の歩行で歩く速度が十分確保されれば、体力・持久力の向上に有効であることが証明されています。

また、60歳以上の高齢者の場合でも、運動の強さよりも、1回に歩く時間を多く取り、長時間にわたって実施する方が効果的だとされています。
 
(3)高血圧の予防効果
→歩行は血圧を低下させるという報告もあります。全身的な持久運動は、脂質代謝を高め、体脂肪を減らします。それにより体重が減り軽い高血圧の人では、血圧が下がる傾向を示します。
 
しかし、歩行することにより障害を負ってしまう場合もあります。それは肥満の人の場合、足を着地する時、歩き方やスピードで変わりますが、一般的に体重のほぼ1,2倍の力が加わります。膝や腰への負担も考えられます。また下り坂では膝にかかる衝撃が大きく、膝の障害を生じやすくなります。脚の形が内側や外側にわん曲している場合は矯正する必要があります。これは足底板を入れたり、中敷を入れたり専門家に相談してみることが必要です。

次に有酸素運動ですが、運動の強さが増し、一定の強度を超えると、肺から取り込んだ酸素供給だけでは追いつかなくなり、無酸素の状態でもエネルギーを作る状態へと変わります。年齢、運動経験にもよりますが、脈拍が1分間に120回を超えると無酸素状態になるようです。腕立て伏せ、全力疾走などは、「無酸素運動」と呼ばれ、心臓に負担をかけるので好ましくはありません。また、息を止めて力むような運動も血圧の上昇、心臓への負担を生じます。

「有酸素運動」とは、ウォーキング、ジョギング、水中運動等であり、運動の強さは自分の能力の5割程度、つまり、軽く汗ばむ程度が良いとされ、脈拍が1分間に約120を超えない程度が目安ですが、循環器に疾患をお持ちの方は、具体的な運動処方を主治医にお尋ね下さい。
 
有酸素運動の効果として、心臓と肺の機能が強化され、末梢の血液循環が改善します。またストレスを解消するといった効果もあります。有酸素運動の目標の具体例として、1日1万歩歩く、膝に障害がある人はプールでの水中歩行などが有効です。

要点としては、有酸素運動を20分以上続ける。脈拍は1分間に120回を限度、時間帯ですが運動する時間は食後1時間以後。早朝に血圧が高い方や、心臓疾患を持っている方は早朝の運動を避け、やむを得ない場合は、起床して1時間以上たってから、準備運動を十分にしてから行ないましょう。水分補給も大切です。体調が悪い時はもちろん、無理をしないことが大切です。
 
かく言う私はどこへ行くのにも車に乗ったり、少し歩いただけでもヘトヘトになる程、日頃歩くこと(仕事では歩いたり、時々走りますが・・・)が少ないのですが、景色を見ながら、ほんの少しいつもより長い距離を散歩したりしてみてはいかがでしょうか?
 
しかし、ここで注意して欲しいのは無理をしないように、「ちょっと疲れたかな?」位が丁度いいです。
また、足などに痛みがある時は医師に相談するか、少し様子を見てください。
 
私も少しずつ歩くことを心がけたいと思います。
 
 
[参考文献]
1:骨格筋—運動による機能と形態の変化— 山田茂・福永哲夫編著 NAP 1997
2:運動と生体諸機能—適応と可逆性— 森谷敏夫 編著 NAP 1999

介護老人保健施設 小名浜ときわ苑

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