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磐城中央病院医療コラム

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忘年会シーズン「酒は百薬の長」はもう古い? ~最新医学で見る「お酒」と「がん」の真実~

2025.12.18泌尿器科・常盤傑医師

12月に入り、街も華やぐ季節となりました。忘年会や新年会など、親しい方々とグラスを傾ける機会も増えることと思います。楽しい席での会話は心の栄養ですが、医師として少しだけ耳の痛い「お酒の真実」をお話しします。

かつては「酒は百薬の長」と言われ、「適量なら健康に良い」と信じられてきました。しかし、近年の世界的ながん研究の進歩により、この常識は大きく揺らいでいます。

2025年1月、米国公衆衛生局長官は「飲酒とがんリスク」に関する新たな勧告を発表しました。飲酒は米国において、タバコ、肥満に次いでがんの予防可能な原因の第3位であり、少なくとも7種類のがん(口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸・乳がん)のリスクを高めることが明らかになっています。

アルコールは体内で分解される際、「アセトアルデヒド」という物質に変わります。このアセトアルデヒドには発がん性があり、細胞のDNAを傷つけることが分かっています。特にリスクが高まるのが、お酒の通り道である口腔・咽頭・食道、そして分解工場である肝臓、さらに大腸がんや女性の乳がんです。

日本人は特に注意が必要です。私たち日本人の約4割は、遺伝的にアセトアルデヒドを分解する力が弱い体質です。お酒を飲むと顔が赤くなる方がこれに該当します。「顔が赤くなるけれど、無理して飲んでいるうちに鍛えられた」という話をよく耳にしますが、これは医学的には非常に危険な状態です。分解されないアセトアルデヒドが長時間体内にとどまり、発がんリスクを大きく高めてしまうからです。

では、どうすればよいのでしょうか。がん予防の観点からは「飲まないに越したことはない」という考え方が、多くの国際的な専門機関で共有されつつあります。とはいえ、「一滴も飲むな」というのは現実的ではないかもしれません。大切なのは「リスクを知ってコントロールする」ことです。

禁酒ができなくても、「飲む量を減らす」だけでも、将来のがんリスクを低く抑えられる可能性が高まります。「とりあえず生中2杯」を1杯にする、度数の低いお酒に変えるなど、小さな工夫から始めてみましょう。