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磐城中央病院医療コラム

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GLP-1作動薬は「がん発症リスク」も下げる可能性 ─ ASCOで示された最新知見

2025.12.18泌尿器科・常盤傑医師

近年、肥満や糖尿病治療に用いられる「GLP-1作動薬」が、体重減少や血糖改善だけでなく、心血管疾患や腎疾患を減らす可能性を持つことが、国内外の大規模研究で示されています。

そして2024〜2025年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)では、さらに注目すべき報告が続きました。肥満や糖尿病の患者さんにおいて、GLP-1作動薬の使用が「がんの発症リスク低下」と関連するというデータが相次いで発表されたのです。

ASCOで報告された複数の大規模研究では、GLP-1作動薬を使用している患者さんは、インスリンなどの従来の治療薬を使用している患者さんと比べて、肥満関連がん(大腸・肝胆膵・腎・子宮体がん・乳がんなど)の発症リスクが有意に低い傾向が示されました。研究によっては、対象となるがん全体のリスク低下が報告されており、GLP-1作動薬による「強力な体重減少」や「慢性炎症の改善」が、がん予防に良い影響を与えている可能性が指摘されています。

【今後の展望と注意点】

一方で、現時点ではあくまで「関連性」が示された段階であり、すべてのがん種において一様にリスクが下がるわけではありません。腎がんを含む一部のがんについては、比較する薬剤や研究条件によって結果が異なる報告もあり、「がん予防薬」としてGLP-1作動薬を位置づけるには、今後の長期的な検証が必要です。

しかし、肥満が多くのがんの確実な危険因子であることを考えると、GLP-1作動薬による体重や血糖、代謝の改善が、結果として将来のがん発症リスクを下げる方向に働く可能性は十分に考えられます。現在、GLP-1作動薬は世界的には糖尿病や肥満症の治療薬として広く用いられていますが、日本では主に2型糖尿病に対する保険適用薬として用いられており、2024年2月からはセマグルチド(ウゴービ)が一定の条件を満たす「肥満症」に対しても保険適用となりました。それでも、今回のASCOのデータは、「生活習慣病の適切な治療が、将来のがんリスク低減にもつながりうる」という重要な視点を示していると言えるでしょう。

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