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腎嚢胞(じんのうほう)

腎嚢胞とは、腎臓にできる球状の袋のことで、中に液体を貯留しています。多くの腎嚢胞は、症状もなく健康に無害です。しかし、一部の腎嚢胞では、悪性腫瘍を伴ったり、また腎嚢胞が多発することで腎機能が悪化するタイプがあります。腎嚢胞の原因はよくわかっておらず、年齢とともに多くの人に発生し、エコー検査やCT検査の際に偶然に発見されます。

腎嚢胞の症状

腎嚢胞は、基本的に何も症状を認めない場合がほとんどです。時々5cm以上の大きさになる場合があり、そうなると腎嚢胞の圧迫で腰部の鈍い痛みが出現する場合があります。

腎嚢胞の原因

腎嚢胞のはっきりした原因は不明です。腎嚢胞が多発するタイプのものでは、遺伝が関係しているものもあり家族性に発生します。

腎嚢胞の危険因子

腎嚢胞はどの年齢にも発生しますが、年齢とともにその発生頻度は上昇します。

感染

まれに腎嚢胞に感染を起こし熱が出る場合があります。抗生剤の投与だけで治る場合もありますが、時に腎嚢胞を穿刺して、感染した中の液体を排出する必要がある場合があります。

出血

まれに腎嚢胞内に出血を起こす場合があります。出血に伴って、腎嚢胞のある側の腰痛を認めます。腎嚢胞内に出血を認める場合、その原因となりうる悪性腫瘍の発生を疑う必要があります。

破裂

非常にまれですが大きな腎嚢胞で破裂する場合があります。

水腎症

まれに腎嚢胞が腎の中心部に発生し、尿路を圧迫し尿の流出の抵抗となる場合があり、そのため腎盂が腫れ、いわゆる水腎症と呼ばれる状態になる場合があります。水腎症がある場合、腰部の痛みの原因となる場合があります。

悪性腫瘍

腎嚢胞の中に隔壁が存在したり、石灰化していたりする場合は、前述の出血した場合も含めて、腎嚢胞内の悪性腫瘍の存在を疑います。CT検査やMRI検査などの画像検査で精査します。

腎不全

腎嚢胞が多発する疾患があり、多発性嚢胞腎という疾患があります。遺伝する病気で家族性に発生します。腎嚢胞が多発することによって、腎機能が低下し腎不全になる場合があります。

腎嚢胞の診断

腎嚢胞は、超音波検査やCT検査、MRI検査などの画像検査で容易に診断されます。これらの検査では、腎臓に認める腫瘤が腎嚢胞であるか腫瘍性のものかを鑑別するのにも役立ちます。

腎嚢胞の治療

腎嚢胞は無症状で、上記の合併症を伴っていなければ治療の必要性はありません。大きな腎嚢胞で腰痛などの症状がある場合、エコー下に細い針で穿刺し、嚢胞内の液体を吸引します。その後再度液体が貯留しない様にエタノールを注入する治療があります。このエタノール注入でもすぐに液体が貯留し大きくなる場合は、手術で腎嚢胞を切除し電気メスで焼く腎嚢胞開窓術という治療も行う場合があります。

腎嚢胞は、健康診断や、他の病気での画像診断の際に、偶然発見されることが多い疾患で、上述のように、症状がなければそのまま様子を見ていてよい疾患です。腎嚢胞といわれた方は、一度専門医に精密検査を受けていただき、問題がなければ、年1回の健診や人間ドックで経過をみていけばよいでしょう。

<Vol.50:コラム担当> 医師 新村浩明