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子供の包茎

包茎とは

包茎(ほうけい)とは、包皮(おちんちんの外皮)がむけなくて亀頭が露出していない状態をいいます。包皮が全くむけないものを真性包茎(しんせいほうけい)、むくことは出来るが通常は亀頭がみえないものを仮性包茎(かせいほうけい)と呼びます。また、包茎の状態で包皮をむいた後に、むくみなどで包皮が元に戻らなくなった状態を嵌頓包茎(かんとんほうけい)といいます。

おちんちんの成長

生直後のおちんちんは包茎の状態が正常です。逆に、生後より外尿道口が露出している場合は、尿道下裂のような先天性の異常を疑わなければなりません。新生児では、包皮は亀頭にくっついていて(癒着していて)、尿道の部分のみわずかに開口しています。そのため無理にむこうとしてもうまくむけません。

1歳から2歳に成長すると、包皮と亀頭との間が自然にはがれはじめ、包皮をむくと亀頭が露出するようになります。しかし亀頭と包皮の癒着はすべてはがれるわけではなく一部癒着したままです。この癒着は個人差が大きいのですが、小学生に上がるころには多くのお子さんにおいて見られなくなります。しかし中には小学生高学年になっても癒着している場合があります。これは特に異常といえるほどではなく、勃起している間に自然にはがれていくと考えられます。

恥垢

この癒着した包皮と亀頭との間に黄色いものが透けて見える場合があります。これは恥垢(ちこう)とよばれる皮膚の垢です。一般的には無菌でそのままにしておきます。いずれ亀頭と包皮の癒着がはがれれば自然に排出するものなので、特に治療の必要はありません。

亀頭包皮炎

時々包皮に感染を起こし、おちんちんが赤くはれ上がったり膿が出たりすることがあります。これを亀頭包皮炎といいます。原因の多くは、お子さんが汚れた手でおちんちんを触るために感染が起こると考えられます。亀頭包皮炎と包茎には明確な因果関係はありませんが、真性包茎で亀頭包皮炎になった場合、直りにくい場合があります。また包皮炎を繰り返すと包皮が硬くなり、仮性包茎が真性包茎になる場合があります。

包茎の治療

包茎の治療は包茎の種類によって異なります。

仮性包茎

仮性包茎は治療の必要がありません。一見、包皮がむけなくて真性包茎のようであっても、包皮と亀頭が癒着しているだけのことがあり、そのような場合は手術せずに自然に癒着がはがれるまで待ちます。成長とともにおちんちんの状態は変化していますので、気長に待つことも大切です。

包皮の先端が少し狭くてむけにくい場合は、ステロイド軟こうを塗布して毎日むいてあげることにより包皮を広げる方法があります。1日2回軟こうを塗ってあげて最低でも2週間はむいてあげるようにします。

真性包茎

包皮の先端が高度に狭くてまったくむけない真性包茎の場合は、手術が必要となります。手術方法としては、"背面切開"といわれる狭窄した包皮の一部を切除し包皮がむけるようになる方法と、"環状切開"といわれる狭窄した包皮をすべて切除し取り除く方法があります。背面切開では手術後、普段は亀頭は包皮にかぶさってみえませんが、環状切開の場合は包皮が短くなり大人のおちんちんのように亀頭が常に露出した状態になります。どちらの方法がよりよいということはなく、ご両親と相談しご希望に沿って手術法を決定します。

嵌頓包茎

嵌頓した状態のおちんちんは、すぐに包皮を元の状態に戻さないと血行障害が起こりますので危険です。なるべくむくみを手で除去し包皮を元の状態に戻すのですが、無理であれば一部切開し整復する必要がある場合もあります。

子どもの包茎の治療に関しては、泌尿器科医のなかでもさまざまな意見があります。手術の可否や手術の時期の早晩などに関していろいろな考え方が存在し、どれが一概に正しいとは今だいえない状況です。しかしながら大事なお子さまの性器の問題ですので、信頼できる泌尿器科医に受診されよく相談されてから、十分納得できる治療法を選択するようにしてください。

<コラム担当> 医師 新村浩明