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PET-CTとはPET-CTとは

PET-CT

保険適応の注意事項

FDG-PET/CT検査の保険適用(2012年4月改訂)

【当院で行っているPET-CT検査】

□早期胃がんを除く、すべての悪性腫瘍、悪性リンパ腫:

 ・他の画像診断により病期診断、転移、再発診断ができない時

□心サルコイドーシスの診断(2019年2月より開始)

 ・臨床診断基準に合致する患者の心筋への活動性炎症の評価
 ・臨床診断基準に合致する患者の治療中の活動性炎症の評価
 ●心サルコイドーシスのための検査前食事制限の詳細は、こちら(PDF 3枚)をご覧ください。

【当院で行っていないPET-CT検査】

■てんかん:外科治療のための病巣診断

保険適応を判断するポイント

 1.腫瘍マーカー高値のみでは不十分です。
 2.「疑い」病名は適応になりません。
 3.同一月内にガリウムシンチグラフィが行われている場合、PETは保険適応になりません。

保険適応とならない具体例

・「疑い」の病名
・腫瘍マーカー高値のみ
・悪性リンパ腫の定期的なフォローアップ(無症状、画像上、異常なし)
・ 両側肺門部リンパ節腫大を認め、サルコイドーシス、悪性リンパ腫等の鑑別目的でPET依頼

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PET-CTとは

PET/CTは陽電子断層撮影(PET:Positron Emission Tomography) とコンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)が一体になった最先端の診断装置です。
CTやMRI検査などでは、主に大きさや形など形態上の異常を検出しますが(形態診断)、PET検査を加えブドウ糖消費の程度を評価することによって病気の性質が判断する事ができます。(機能や代謝診断)

がん細胞は正常な細胞よりも分裂が盛んに行われるため、正常細胞の3〜8倍のブドウ糖を必要とします。そのがん特有の性質を利用しがん細胞が活発にブドウ糖を取り込む性質を利用して画像にする方法です。

PET検査の優れているところ

PET検査では全身を一度に撮影することから、がんを想定外の場所からも拾い上げることができます。そのためがんの病期(病巣の大きさや転移の評価)や再発について、迅速かつ適確に診断することができます。しかも、FDGの集まり程度から、がん細胞の悪性度(増殖の早さや、転移、再発のし易さに関係)についても評価できます。
さらに、はじめのFDGの静脈注射さえ済んでしまえば、その後は検査が終了するまで患者さんへの苦痛や負担はほとんどありません。撮影中、静止していなければならない時間は12分~20分程度です。

1.一度の撮影で全身を撮影

PET検査では一度の撮影でほぼ全身をみることができます。

2.苦痛の少ない検査

薬剤を注射して約1時間安静にした後、カメラの下で30分ほど横になっていただくだけです。

3. がんの転移や再発の診断に有用

全身を一度に撮影しますので転移や再発に有効です(撮影部位:頭頂部~大腿部)

4. 組織の活動状態がわかる

薬剤の集まり具合で組織の活動や、良性・悪性の識別をすることができます。

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PET-CTの注意点

臓器や部位によっては発見しにくいがんもあることをご了承ください。
薬剤(18F-FDG)は尿中へ排出されるため、腎臓や膀胱などのがんも発見しにくい場合があります。
当院では、検査前に必ず排尿して頂き、腹部は時間をおいて2回撮影し見落としが無いように努力しています。

複合検査の重要性と多目的診断の必要性

PETは「がん」の診療にとって画期的な検査法です。しかし、これさえ受ければ完璧というわけではありません。他の検査や画像診断とあわせて初めて、存在部位や広がり、重症度がより明確になります。
また、臓器や部位によっては、PETCTだけでは見つけることができない「がん」があることも、理解しておかなくてはなりません。
当院はこのようなPETの特徴をふまえ、複合検査の重要性と多目的診断の必要性に注視し、つねに高精度の診断に結び付くよう、工夫と努力をしております。

【PET偽陰性になりやすい場合】※ 偽陰性:悪性腫瘍を、正常ないし良性疾患と判断してしまう

高血糖状態(糖尿病)

腫瘍径が1cm以下

肺がんの一部(高分化型腺がん、肺胞上皮がんというタイプ)

泌尿器科系のがん(腎臓がん・尿管がん・膀胱がん・前立腺がん)

食道、胃、大腸、などの表在がん(早期がん)

胃のスキルスがん(硬性がん)

細胞内に薬剤(FDG)を留まりにくくする酵素の存在(原発性肝癌 )

PET-CT検査では1度の撮影でほぼ全身をみることができます。
しかし、決して万能のものでもありません。
つまり、固まりをつくるがんほど見えやすく、薄く広がるがんほど見えにくいのです。
5mm程度でも固まりをつくっていれば見える場合もあり、逆に1cm以上でも薄く広がっているがんの場合は見えにくくなります。

【PET 偽陽性になりやすい場合】※偽陽性:正常ないし良性疾患を、悪性腫瘍と判断してしまう

急性炎症・慢性炎症 

膿瘍

結核

サルコイドーシス

慢性甲状腺炎

唾液腺腫瘍

良性骨腫瘍・腸管蠕動亢進 

腸炎

人工肛門部位

大腸ポリープ

月経時子宮内膜

排卵期卵巣

授乳中乳線・子宮筋腫

子宮内膜症・良性卵巣腫瘍(チョコレートのう腫・奇形腫)・褐色脂肪(寒冷期)

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PET-CT Q&A

Q:注意点、及び検査前日から検査終了後までの間、守らなければいけない事は?

・検査前日と検査当日は激しい運動(ジョギング、水泳、サイクリングなど)を控えて下さい。
・検査4時間以上前から絶食してください。FDGはブドウ糖に似た成分ですので、糖分を含む
 飲み物は飲まないでください。お水やお茶は、FDGを尿とともに体外へ排出しやすくするので、
 飲んでもかまいません。
・ペースメーカーや除細動器埋め込みをされている方は事前におしらせ下さい。
・直近でバリウム検査をされている場合も画像不良の原因となりますので、控えて頂くのが望まし 
 いです。
・検査終了当日は、まだ体内に微量の放射性物質が残っていますので、検査終了後1~2時間は 
 できるだけ人込みを避けてください。また、検査当日は、妊婦や乳児との接触をなるべく避ける
 よう努めてください。

Q:なぜ検査前から絶食するのですか?

PET検査は、がん細胞が大量のFDGを取り込む性質を利用した検査です。そのため、検査前に食べ物や甘い飲み物を摂取すると、がん細胞が満腹になり、FDGを注射しても集積が悪くなります。その結果、がんの正確な情報が得にくくなります。

Q:PETではどんな「がん」でも見つけだせるのですか?

「がん」の種類によっても、また病気の時期によっても、ブドウ糖の代謝は異なりますので、必ずしも全ての「がん」を見つけ出せるわけではありません。肺癌や大腸癌を検出するのは得意ですが、胃癌、肝細胞癌、腎癌、膀胱癌等は比較的苦手です。

Q:どんなに小さくても見つけることが出来るのですか?

数ミリ程度の小さい「がん」は画像にも写りにくく、見つけるのは困難です。ほぼ直径1cm以上の大きさであれば検出できるとされています。

Q:被ばくや副作用の心配はないのですか?

検査に使う18F-FDGという薬はブドウ糖製剤で、投与量も非常に微量です。
また、1回のPET/CT検査で受ける被ばく量は5~8mSv(ミリシーベルト)程度です。
なお、検査前に妊娠の可能性がないことをご確認ください。

Q:検査後の生活で気をつけることはありますか?

微量の放射能が体内に残っていますので、検査後の2時間は人混みを避け、妊産婦や幼小児との緊密な接触を控えてください。

Q:PET検査の健康保険適用範囲

・悪性腫瘍(早期の胃がんや、他の検査・画像診断により病期診断、転移・再発が確定できない方は保険適用になりません)
※上記の疾患でも、さまざまな条件により保険適用とならない場合があります。

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