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腎移植腎移植

腎移植

腎移植とは

腎移植とは腎臓の機能が低下した場合(慢性腎不全)のために、新しい腎臓を移植することによって腎臓の機能を回復させる治療法です。

ときわ会グループでは、これまで23例の腎移植を、東京女子医科大学泌尿器科、および、新潟大学泌尿器科による協力体制のもとで施行しています。
当院では血液型不適合移植や夫婦間移植など、免疫学的に拒絶反応が多く一般に困難とされる移植も実施しています。

慢性腎不全の治療法には、透析治療と腎移植があります。
透析療法には大きく分けて血液透析と腹膜透析がありますが、いずれも時間的制約が大きいことと腎臓の一部分の機能しか果たさないことが問題になっています。
それに対し腎移植では、失われた腎臓の機能がほぼ完全に回復し、また時間に縛られることもなく、食事の制限も比較的ゆるくなります。
そのため、完全な社会復帰が可能となり、長期透析による合併症も回避できることがわかっています。

腎移植の実際

腎移植には、亡くなった方からいただく献腎移植と、ご家族からいただく生体腎移植があります。
我が国の現状では献腎移植は少ないため、腎移植の多くは生体腎移植が占めています。
いわき泌尿器科病院でも、これまでの全例が生体腎移植でした。

移植された腎臓はご家族から提供されたものであっても他人のものなので、体の中で免疫というシステムによって移植腎を排除しようとします。
これを拒絶反応といいます。

拒絶反応により移植腎が破壊され機能しなくなってしまうので、免疫抑制剤で拒絶反応を抑える必要があります。
そのため移植腎が機能している間は、免疫抑制剤を内服します。

免疫抑制剤を内服していても拒絶反応を抑えきれず、移植腎が機能しなくなってしまう場合があります。

しかし最近では新しい免疫抑制剤が開発され、拒絶反応の治療法が改善されているので、以前と比較すると腎臓のもちはますます良くなっています。
移植してから5年以上機能している人の割合は約90%を超えています。
もちろんそれ以上長く腎臓が働いている人もたくさんいますし、移植後30年以上機能している方もおられます。

腎臓の位置(提供者) 腎臓移植(腸骨窩といわれる骨盤内に腎臓は移植されます)


当グループでは、血液型が異なるいわゆる血液型不適合移植も行なっています。
血液型を間違えて輸血すると大変なことになるのと同じように、血液型が異なる腎移植は 激しい拒絶反応のため、かつては移植できないとされていました。
しかしながら有効な免疫抑制剤の出現と手術前の血液型抗体の除去により、現在では移植が可能となっています。
もちろんそのためには移植前後の厳重な管理が重要です。
われわれは新潟大学泌尿器科、東京女子医科大学泌尿器科の経験豊富なスタッフとの合同チームで、血液型不適合移植を行っています。