昭和57年に開設した「医療法人社団ときわ会 いわき泌尿器科」当時から、公益財団法人ときわ会
常磐病院に至るまで長年に渡り培ってきた地域医療における腎臓内科・透析医療および腎移植医療の実践、また地域の皆様方との信頼関係(「一山一家 地域の皆様と共に生きる」の理念)の構築をさらに発展させ、以前にも増して腎臓内科分野で地域の皆様のお役に立ちたいと考えています。
急速な高齢化社会に入っている中、医師だけでなく看護師・管理栄養士・薬剤師・理学療法士・言語聴覚士・医療ソーシャルワーカー等、様々な専門職と協同してチーム医療を基盤とした全人的な集学的医療の提供を行ってまいります。診療については、糸球体腎炎およびネフローゼ症候群、慢性腎臓病から透析療法など、全ての領域をカバーしていますが、各領域で最新のエビデンスに基づき現時点でベストな医療を提供できるよう心掛けています。いわき地域の多くの医療施設とも密接に連携しながら、これらの分野の診療を進めてきましたが、腎臓内科医は大きく不足しているのが現状です。地域の高度な腎疾患診療を担うとともに、次世代における優秀な後継腎臓内科医の育成も積極的に行います。
SECTION01
当科の歴史は、昭和57年3月に開設された「医療法人社団ときわ会 いわき泌尿器科」にまで遡ります。当時は泌尿器科と人工腎臓治療を標榜する有床診療所であり、翌年(昭和58年)に開始された腎臓内科診療(東京女子医大腎臓病総合医療センター非常勤医:川口)も主として基幹病院である磐城共立病院(現いわき医療センター)および福島労災病院から紹介された慢性透析患者さんの管理にありました。その後、東京女子医大腎臓病総合医療センターや同医大第二病院(現:東医療センター)から派遣された医師たちが加わり、サテライト医療機関の医師を含めて平成23年、東日本大震災が発生した年に開設された公益財団法人ときわ会 常磐病院の腎臓内科として統合されました。以降、約10年間の間に東京女子医大腎臓(第4)内科のご指導も加わり、診療体制や診療レベルは飛躍的に充実してました。また、グループの一つである「いわき泌尿器科」院長として元磐城共立病院腎臓内科部長の蔀幸三医師が加わり、いわき地域を担う腎臓内科として地域の信頼性も増すとともに、規模も大きく発展し現在に至ります。
SECTION02
健康診断や学校検尿等で偶然に発見された血尿/蛋白尿などの尿異常、浮腫を伴う種々のネフローゼ症候群、予後不良とされている糖尿病性腎臓病、若年者に頻度の高いIgA腎炎や難治性ループス腎炎等の慢性糸球体腎炎、腎機能の低下した急性/慢性腎不全、遺伝性腎疾患(多発性嚢胞腎臓やアルポート症候群)、高血圧症や電解質異常を含めた多岐にわたる腎臓疾患に対して可能な限り最新の治療エビデンスに基づいた診療を行っています。
原因不明の腎疾患に対しては可能な限り腎生検を施行し、病理学的に「正確な診断」に基づき、治癒を目指した治療を行っています。また、慢性腎臓病(CKD)治療には、薬物治療に加えて、長年の経験と実績のある当院栄養科による丁寧な食事指導(低たんぱく食療法)により可能な限り透析導入を避ける/遅延する集学的治療を行っていきます。
その他、腎臓内科が運営する血液浄化部門では、血液透析療法の他、血漿交換、免疫吸着療法および持続携帯式腹膜透析(CAPD)まで幅広くトータルに血液浄化療法に関する診療を行っています。
急性上気道炎を中心とする感染(主にA群β溶連菌)の後、10日前後の潜伏期間を経て血尿・蛋白尿、尿量減少、むくみ(浮腫)、高血圧で発症する一過性の急性腎炎症候群です。
腎臓の糸球体に高度の炎症が起き、血尿や蛋白尿が出現、数日から数週間の間に急速に腎機能が低下して腎不全になる予後の悪い疾患です。
・週から月単位で腎機能が悪化
・高齢者に多く平均発症年齢は65~70歳
・肺出血を起こすと致命的
糸球体の慢性的な炎症によって、蛋白尿や血尿が出る疾患を総称して慢性糸球体腎炎といい、自覚症状も無くいつの間にか腎機能が悪化し慢性腎不全、そして最悪の場合は透析や腎移植が必要になります。慢性糸球体腎炎にはIgA腎症・膜性腎症・紫斑病性腎炎などの疾患が含まれますが日本人に最も多く見られるのが「IgA腎症」です。
「IgA腎症」の症状は様々で多くの場合、再発性・持続性血尿や慢性腎炎症候群を呈します。健診や他の病気で検査した際に検尿で蛋白尿や血尿を指摘されたり、あるいは感染に伴って肉眼的血尿が出現し発見されることが多くありますが、他の症状で発見されることもあります。
尿に大量のタンパクが出てしまい、血液中のタンパクが減るため浮腫やコレステロールの増加を起こす疾患です。ネフローゼ症候群には様々な原因があり、診断のために「腎生検」が必要になることがあります。副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬などを使う場合もあります。
急激に腎臓機能が低下し、体の水分バランスや血液中の成分バランスが保てなくなる状態を指します。原因や分類は様々で大きく「腎前性」「腎性」「腎後性」に分けられます。
全身疾患のために腎臓への血流が低下する場合
〈治療:点滴や出血に対しては輸血を行います〉
腎臓自体に原因がある場合
〈治療:原疾患の加療・保存的加療を行います〉
腎臓より下部の尿路に原因がある場合
〈尿路閉塞の原因除去・尿路系の圧の解除を行います〉
急性腎不全同様に腎臓機能が低下し、機能しなくなる病気です。急性腎不全と異なるのは数ヶ月から数十年をかけて腎臓機能が徐々に低下し、腎臓のろ過能力が機能せず正常な循環が維持できなくなります。
・遺伝性腎疾患(多発性嚢胞腎・アルポート症候群・ファブリー病・バーター症候群)
・全身疾患(高血圧・動脈硬化・糖尿病・膠原病・骨髄腫等の血液疾患)に伴う腎障害
・本態性高血圧
・二次性高血圧(腎血管性高血圧・内分泌性高血圧など)
・酸塩基平衡、電解質異常
上記以外にも腎臓に関する疾患は様々です。
IgA腎症に対してはいわき医療センター耳鼻咽喉科のご協力のもとに、根治をめざした扁桃摘出とステロイド投与(仙台方式)による治療を行っており70-80%以上の完全寛解を得ています。また、予後が悪いといわれる急速進行性糸球体腎炎(ANCA関連腎炎)や膠原病性腎合併症等に対しても当法人いわき中央病院(膠原病.リウマチ科)とも協力してリツキサン等の新しい免疫抑制薬治療を導入し積極的な治療を行っています。末期腎不全の原因として最も多い糖尿病腎臓病や慢性腎炎等で腎機能の低下した慢性腎臓病(CKD)の進行を抑制するために糖尿病専門医を含めた集学的治療を行い、腎性貧血、ミネラル・骨代謝異常の管理や、栄養管理室と連携した積極的食事指導(低蛋白食療法)を行っています。また家族性のADPKD(常染色体多発性嚢胞腎) に対する最新のトルバプタン療法も積極的に行っています。腎代替治療に対しても万全の備えをしており、患者さんの状態を十分に考慮し、外来専門看護師による腎代替療法選択指導を行い、血液透析(施設透析)、CAPD(在宅透析)のみならず泌尿器科と連携した腎移植治療と全てに迅速に対応しています。
ご紹介していただける先生方へのお願い
当科では、現在5名の腎臓内科医が外来・入院診療、人工透析業務に携わり、上記のような疾患に関して診断と治療を行っています。最近は末期腎不全の原因として糖尿病性腎臓病、高齢者のANCA関連血管炎に伴う急速進行性糸球体腎炎、腎動脈の動脈硬化による虚血性腎症や良性腎硬化症などが増加しています。偶然発見される蛋白尿や僅かなクレアチニン値の増加も心血管系疾患の重要なリスクファクターであることが証明されています。Cr>2.0mg/dL(eGFR <30mL /min/1.73M2)、蛋白尿>(++)、あるいは>0.5gram/gCrは進行した腎障害を示します。病診連携をもとに診察させていただきますので引き続き早期のご紹介をお願いします。
患者さまとご家族へのお願い
腎臓の慢性炎症や高血圧・糖尿病など様々な要因が腎臓(糸球体)に負担をかけることにより、蛋白尿が出るようになります。その蛋白尿が、腎臓を硬くしてしまいます(瘢痕化)。放置しておくと徐々に老廃物や水分を尿中に排泄する能力が衰えやがて腎不全といわれる状態になり、 最終的には生命を維持するために人工透析(血液透析・腹膜透析)が必要となってきます。蛋白尿や腎機能障害を放置すると、心筋梗塞、脳梗塞などの心血管系合併症の大きなリスクとなることがわかってきました。早期の診断と治療が必用ですので、症状がなくても異常を指摘されたときには受診されることをお勧めします。なお初診の患者さんはその経過や病状の円滑な把握のために、かかりつけの医療施設からの紹介状を持参して頂くことをお願いいたします。
当院の入院病棟は一般病棟と医療型療養病棟に別れており、一般病棟では各種腎炎・ネフローゼ症候群・急性腎障害/慢性腎不全(透析導入/急性合併症)の患者さんを中心に、療養病棟は廃用症候群を合併した慢性維持透析患者さんを中心に入院いただいています。また、腎生検のための入院や患者さん・ご家族向けの慢性腎臓病(CKD)教育入院も実施しています。腎生検は年間60~70件、また他科入院患者さんに必要な血液透析管理や各種の血液浄化療法(敗血症に対するエンドトキシン吸着やCHDF、血漿交換療法、LDL吸着)も行っています。
入院期間
腎臓病の多くは慢性疾患であり、また治療薬として使用するステロイド剤や免疫抑制剤等の効果判定に一定の時間を要すること、さらに患者さんの高齢化等のために入院も比較的長期(1-2か月)に亘ることがあります。出来る限り早期退院をめざしますが、より良い治療のために患者さんおよびご家族のご理解とご協力をお願いいたします。
腎生検の重要性
蛋白尿、血尿、腎機能低下のある患者さんにとって適切な治療法を確定し、末期腎不全(透析)に至らないようにするためには、外来での血液や尿検査、またレントゲンや超音波画像検査から得られる結果だけでは不十分な事も多く、腎臓の組織を採取し、顕微鏡で診断することも必要になります。このことを「腎生検」と言い、腎臓内科にとつては最も重要な検査の1つです。短期間(4-5日間)の入院が必要になります。なお、すでに腎障害が進行している場合(Cr:2.0mg/dL/eGFR <30mL /min)は施行しても満足すべき結果が得られないことも多いため、注意が必要です。
(1) 腎臓の組織を採取し顕微鏡で正確な病理診断を得ること。
(2) 病気の予後(今後の見通し)を予測すること。
(3) 適切な治療法を決定すること。
腎生検が必要になるのは、主に以下のような場合です。
(1) 血尿(尿潜血)が持続し、慢性腎炎が疑われる場合。
(2) 1日0.3〜0.5g以上の蛋白尿が持続する場合。
(3) 蛋白尿/血尿の双方がみられる場合。
(3) 大量の蛋白尿や浮腫(ネフローゼ症候群等)が認められる場合。
(4) 急速進行性腎炎(数か月で腎機能が低下)が疑われるとき。
(5) 原因不明の腎不全で、腎臓が小さくなっていない場合。
腎臓の働きが低下して、薬物療法や食事療法などの保存的療法では治療が困難な場合に行う治療法(腎代替療法といいます)には、血液透析・腹膜透析・腎臓移植の3つの治療法があります。当院には外来血液透析施設として、人工透析センター(第2、第3透析室:各 ベッド)、外来および入院(主として療養病棟の透析患者さん)として第1透析室: ベッド)、病棟個人用透析: 3ベッド があります。
血液透析療法を受けられる患者さんへ
現在、慢性腎不全・急性腎障害により腎機能が高度(10%以下)に低下しているため、薬剤や食事療法、水分制限などの保存的な対処では、これ以上の治療は困難です。このため、血液透析により低下した腎機能を代替することが必要です。血液透析療法は、血管内の針やカテーテルからポンプを用いて一定の速度で血液を取りだし、透析器(ダイアライザー)を通して血液浄化と水分除去を行い、再び体内へ血液を戻す治療法です。
慢性腎不全で血液透析療法を行うためにはバスキュラーアクセス(一般的には前腕に作られ内シャントと呼ばれます)造設手術が必要です。予め外来で造設済みの場合(予定透析導入といいます)は原則として入院不要です。しかし透析導入ギリギリの状態でご紹介された場合(緊急透析導入といいます)には直ちに入院し人工カテーテルを使用した血液透析治療と並行して内シャント造設術が行われるため、1ケ月から2ケ月の入院が必要となります。緊急透析導入は予後(今後の見通し)も不良であり、早期の紹介が望ましいです。退院後は週3回の外来通院が必要です。
腹膜透析(持続携帯式腹膜透析;CAPD)を受けられる患者さんへ
自分のお腹の中にある腹膜を使う透析方法です。腹膜透析は血液透析とは異なり在宅透析になります。腹腔内に特殊な管(テンコフカテーテル)を留置する手術が必要なので、約約1か月の入院が必要です。なおSMAP法を使用すれば入院期間は2週間に短縮されます。血液透析、腹膜透析とも双方に長所短所があり、患者さん自身のライフスタイルに合せた選択が可能です。特に積極的に仕事をしたい患者さんや頻回の通院が困難な患者さんに適していますが、通常5年~8年間程度で血液透析の併用あるいは変更が必要になります。
腎臓移植を希望される患者さんへ
当院は泌尿器科主導のもと、腎臓移植を積極的に実施しています。主として生体腎移植ですが、透析導入前(透析をしないで移植する方法を先行的腎移植といいます)、透析導入後のいずれも可能です。また、亡くなられた方からの献腎移植登録も薦めております。現在まで、生体腎移植は00000例の実績があります。
SECTION03
・東京女子医科大学病院
・いわき市医療センター
・福島県立医科大学病院
・福島労災病院
SECTION04
当院ではセカンドオピニオン外来は設定されておりません。一般の腎臓内科専門外来にてご相談ください。
SECTION05
名誉院長
昭和26年1月10日生 | |
昭和52年 | 岩手医科大学医学部卒業 |
聖路加国際病院 臨床研修 | |
東京女子医科大学腎臓病総合医療センター 助教授 | |
ときわ会 いわき泌尿器科 院長 | |
平成23年7月1日 | ときわ会常磐病院 人工透析センター長 |
平成25年4月1日 | ときわ会常磐病院 院長 |
平成27年9月1日 | ときわ会常磐病院 名誉院長 |
担当医師
昭和59年3月 | 大阪医科大学入学卒 |
昭和59年5月 | 東京女子医科大学腎臓小児科 入局 |
平成4年7月 | 豪州・モナシュメディカルセンター腎臓内科 (Robert C. Atkins教授 留学※〜1994年03月) |
平成17年11月 | 東京女子医科大学腎臓小児科 教授 |
令和4年1月 | 大阪医科薬科大学客員教授(兼任) |
令和6年3月 | 東京女子医科大学腎臓小児科 教授・診療部長 定年退任 |
令和6年4月 | ときわ会常磐病院 |
担当医師
平成12年 | 山形大学医学部卒業 |
平成21年6月 | ときわ会 いわき泌尿器科病院 |
平成23年6月 | ときわ会常磐病院 |
平成27年9月 | 東京女子医科大学 医学博士取得 |
担当医師
平成11年3月 | 東京慈恵会医科大学卒業 |
平成18年10月 | 竹林病院 |
平成22年4月 | ときわ会常磐病院 |
平成27年9月 | 東京女子医科大学 医学博士取得 |
担当医師
平成25年3月 | 弘前大学医学部卒業 |
平成27年4月 | ときわ会常磐病院 非常勤 |
平成31年4月 | ときわ会常磐病院 腎臓内科 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
---|---|---|---|---|---|---|
午前 | 岡崎真之 板東優太 |
小松水樹 | 板東優太 | 川口洋 佐藤まどか |
岡﨑真之 | 服部元史 岡﨑真之(毎月第2・3) |
午後 | 川口洋 板東優太 |
板東優太 | 岡﨑真之 | 岡崎真之 | 服部元史 |
SECTION06
2019年 | 468 |
---|---|
2020年 | 396 |
2021年 | 436 |
2022年 | 373 |
2023年 | 384 |
2019年 | 88 |
---|---|
2020年 | 129 |
2021年 | 109 |
2022年 | 134 |
2023年 | 131 |
2019年 | 57 |
---|---|
2020年 | 52 |
2021年 | 49 |
2022年 | 37 |
2023年 | 31 |
SECTION07
ご関心頂けましたら、下記のメールアドレスまでご連絡ください。
saiyou@tokiwa.or.jp
始めにご希望の業務、勤務日をお伝えください。それに合わせ、当院での業務内容や給与について、いくつかパターンをご提案致します。
診療科目 | 腎臓内科 |
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資格 | 日本内科学会認定内科医 又は日本内科学会総合内科専門医 (優遇)日本腎臓学会専門医/日本透析学会専門医 |
その他 | 当診療科は2011年の東日本大震災後に設置された腎臓内科の医局です。 心身ともに健康な方、透析医療は多くのスタッフとの関わりがある仕事ですので協調性のある方、共に地域医療を担える方を歓迎します。 |
診療科目 | 人工透析内科 |
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資格 |
日本内科学会および日本外科学会において定められたいずれかの認定医または、専門医、日本泌尿器科学会、日本小児科学会および日本救急医学会において定められたいずれかの専門医、もしくは日本麻酔科学会において定められた指導医の資格 (優遇)日本透析学会専門医 |
その他 | 所属は腎臓内科ですが、仕事内容は透析回診、及び透析患者の入院管理と腎臓内科よりも限定されます。 |
腎臓内科病理カンファレンスの様子
SECTION08
・日本腎臓学会認定教育施設
・日本透析医学会認定施設
SECTION09